いのちを救う人となれ

☆この記事は、NPO法人アグレコが月一で発行しているフリーペーパー「agreco」に寄稿しているものです。
~みんなでくらしをつくる~というテーマの雑誌で、個性あふれる方たちの描く糸が紡ぎだす月刊誌。
群馬・東京・栃木で手に入れることができます☆


みなさん、“AED”を知っていますか?
―自動体外式除細動器―心臓がけいれんを起こし血液を流すポンプ機能ができなくなった状態の心臓に対して、
必要ならば電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器です。
駅、コンビニやサービスエリア、公民館で見かける赤いハートに稲妻のような矢印が描かれたシンボルマーク。
先週講習会で改めて使い方を学んできました。


もともと、なぜその講習に行ったかというと、
ムーブメント・メディスンを教えるためにはファーストエイド(緊急・応急処置)の資格を持っていることが条件。
日本では、赤十字が行っている「赤十字救急法救急員」という資格があり、2~3日間の講習でその資格がもらえる。
初めて講習に行ったのは3年前、忘れもしない大雪が降った2月。
前橋の赤十字に通い三角巾の使い方、止血の仕方、骨折した場合の副子の当て方、
そして倒れている人を見かけた場合、どうしたらいいのかを何度も練習した。


倒れている人を見かけたら、皆さんならどうしますか?
道端で倒れている人を見かけることは、そう頻繁に起こる事ではない、そう思うかもしれません。
でも私は40年生きてきた中でこれまで覚えている限り3人の倒れている人と出会いました。
13年に1人の割合!そしてその内の1回は、まったくどうするすべもなく、ただ通り過ぎて、
その方が死んでいるのだと気づいたのがその3日後・・・ということもありました。
インドでの話です。


今回の講習会でも、2人組になり、実際倒れている人を目の前にした状況を創り何度も何度も練習。
不思議なことに練習だとわかっているのに、その状況を創るだけで私の心はギューッと締め付けられ、心臓がドキドキし始める。
まず行うことは、周囲の確認。そこは危険な状況ではないか。確認が取れたら、その方の意識・反応の確認。
「もしもし、大丈夫ですか?もしもし、大丈夫ですか?」
反応がない場合、すぐに助けを呼ぶ。119番し、AEDをもってきてもらう。呼吸の確認。
呼吸の確認が取れなかったら胸骨圧迫(心臓マッサージ)。
その一連の流れを練習し、人形に心臓マッサージと人工呼吸を繰り返す中で、思った。
握りこぶしよりも小さな心臓が一生止まらずに動き続ける奇跡。
長生きする人で100年間。平均20億回が一生の鼓動数。
時にはちょっと止まりたくなることだってあるだろうに、生きている限り心臓は“いのちの音”を奏で続ける。


お時間のある方、ぜひ講習を受けてみてください。
赤十字だけでなく、消防局でも講習会が開かれています。
ちなみに私はこの講習会を受けて、赤十字へのイメージが変わりました。
講師のみなさんはとても謙虚で一生懸命。赤十字に送られる寄付の使い道の一つとして、こういう講座も開設されています。


いのちを救う、そんな大それたことではなくても、万が一の状況と出会ったときに、自分が
“できること”をする練習のために。


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困難が扉を開く

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先月、イギリス研修でのこと。

夕方18時に成田発➡香港経由➡翌朝5時ロンドン・ヒースロー空港到着。
時間がたっぷりあるので、いつもは使わない地下鉄でロンドン中心部にあるパディントン駅まで行くことにする。

ヒースローからパディントンまでは何度も通ったよく知った道。ヨーロッパではよくある予想していないストライキがあったり、
例え迷っても時間がたっぷりあるから大丈夫〜と思っていたら、本当に迷った!

それは地下鉄の改札で始まる。まず持っているイギリス版Suicaのオイスターカードが何故か使えない。
マシーンでチェックしたら残額はある。質問しようと思っても駅員が誰もいない。仕方なくチケットを買う。
地下鉄のスピードがノロい。というか駅でない場所であちこち止まる。そして遂には乗り換える駅を間違えたらしく、
途中まで行ったのに結局空港に戻る道をたどる。大きな荷物を階段で上り下り…久しぶりにイライラした(笑)

でも、それが色んな出会いと気づきをもたらしてくれた。学校のあるトトネス行きの電車に乗るまでに
4人もの人が助けてくれた。

●アルバニア人のおじさん➡駅が間違っていると教えてくれた
●インド人のお兄ちゃん➡電車まで荷物を運んでくれた
●ナイジェリア人の駅員のお兄ちゃん➡間違って払ったお金を返金してくるよう助けてくれた
●ジャマイカ人の駅員のお兄ちゃん➡荷物を持ってトトネス行きの電車に乗せてくれた

みんな仕事中、または仕事に行く途中。私に関わっていて時間大丈夫かなと心配になる位、親身になってくれた。
一つ皆に共通するのはオリジンがイギリスではないこと。イギリスという国の多様性がここにある。

そのあと、3時間くらい乗っているトトネスへの電車の中で思った。
間違えたり、迷ったり、今までやったことのないことへ飛び込むこと。
それは今までに知らなかった世界を見せてくれるゲートウェイとなる!

仕事や役割を超えて、今初めて出会う目の前の人に心を開き、助けを求める。
それは自分の弱さをさらけ出すことでもあり、人を謙虚にする。
そうすることで、いつもとは違う目で、物事を見ることもできる。

現代の生き方はプライベート(私)とパブリック(公)をきっちり分けようとしている気がする。
例えば(公)の役割を果たしている時に(私)があってはいけないような感じすらする。
〝公私混同〟って、やってはいけない事の代名詞で存在する。

でも(私)を活かさずして、(公)もあり得ないのではないかな?
(公)を重んじ過ぎて(私)がなくなってしまう時、過労死のような、あまりにも痛い現実が起こってしまうのではないか。
だとしたら(私)を大事にして、(公)を楽しみながら生きること。それこそが〝公私共生〟の道。


迷った事から、出会ったこの4人の男性の親切のお陰でこんな事を考えました。
みなさん、2017年も思いっきり間違えましょう、そして道に迷いましょう〜


ひとりじゃない

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私には悩みがある。
それは湿疹。身体に小さな赤い点が出来て我慢出来ない痒みを伴う貨幣状湿疹。
始まったきっかけはヒルだった。ヒルに刺された後が化膿して、痒くなりはじめ、
そこから身体の色々な場所に湿疹として現れ出したのが10年前。


当時住んでいたイスラエルのキブツでは、悩みを相談すると親切な友人たちがあれこれ色々な薬を持ってきてくれた。
その中でも興味深かったのは、イチジクの実がまだ青い時にもぎ取った茎から出る乳液。
調べてみると、民間薬として日本でも使われていたらしい。


そんなみんなの親切も私の湿疹を完治させることはできず、ついに病院に行き皮膚科の先生に診てもらうことになった。
日本にも来たことがある親日家の先生だった。
バイオプシー(生検)までしてもらって分かった結果が“Nummular dermatitis(貨幣状湿疹)”だった。
そんな名前を言われても、それが何を意味するかまったく????な私は尋ねた。

私:『先生、これはどうしたら治るんですか?』  
先生:『わからないんだよね。とにかく薬を塗り続けるしかないよ。』
私: 『原因は何なんでしょうか?』
先生:『うーん。本に書かれていないから分からないなぁ。』



この最後の答えに、私はもうそれ以上何を聞いてもこの先生からは答えは得られないだろうと悟ったのだった・・・・
それ以来、とにかく色々な治療法を試してみた。
ステロイドから自然な塗り薬はもちろん、ホメオパシーから鍼、漢方薬からヒーリング。
日本に帰国してからは、何軒かの皮膚科にも行ってみた。
ある時、あるお医者さんには、「これは“アトピー”です。理由がわからなくて現れるこういった身体の反応をアトピーというんです」
と言われて、なんと目の前に光が差し込んだように見えた!
自分が“アトピー”で悩んでいる人達の中に仲間入りできたようで純粋に嬉しかったから!(笑)



病にかかることは、孤独なことだ。
夜、湿疹が悪化した時にはかゆみを通り越した痛みや痺れのために眠れない夜を過ごしたこともあった。
真夜中に、一人布団の上でもがく。泣き叫んでも、誰もこのかゆみや、痛みを治すことはできない。
がんのように、死に至る病ではない。でも、抱える悩みは大きくその苦しみは、なったものにしか分からないだろう。


身体には叡知が宿っている。
その叡知が何と私たちに語りかけてくれているのか、それを全て聞き取ることは難しい。
でもそんな時同じ人間、この身体に生きる者同士が分かち合える“経験”がある。
それを共有することで私たちは乗り越えていける“強さ”を身に付けることができる、よね!!



百聞は一見に如かず

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皆さん、K-1を知っていますか? 
私はついこの間まで知りませんでした。K-1とは立ってする格闘技。
キックボクシングや空手、カンフーのK。KingのK。そのスーパーフェザー級世界最強トーナメントに行ってきました。
平和主義、暴力反対、菜食主義の私。つい2ヶ月前まで、格闘技??
まったく興味もないし、なんでわざわざ舞台に上がって傷つけあうんだろう・・・・?
と思っていた私。 
それが群馬から東京の代々木まで行った理由。それは“人”でした。


今年の夏にスペインに行ったときに、どういうわけか通訳をするご縁をいただきました。
その相手はなんとK-1選手。世界チャンピオンにもなったスペイン、コルドバ出身の選手でした。
話しているうちに、まっすぐで、飾り気がなく、自分の仲間や生まれ故郷を愛し誇りに思う彼のあり方が胸を打ちました。
村の1週間続く祭りで、ほとんど寝ていない最終日の朝。疲れがピークであるにも関わらず、ビデオ・写真撮影を何度取り直しても、嫌な顔をまったくせず、42度あるコルドバの暑い夏の日差しの真下でインタビューを受けてくれました。
踊ったことはない、嫌だ~、と言っているのに無理やりフラメンコを踊らせても、屈託のない笑顔で頑張る彼に、
私は感動すらしました。
その彼が日本に来て、世界チャンピオン戦に挑むなら、絶対観に行く!!そう思ったのです。

代々木第二体育館。着いたとたん、想像していた“格闘技の空気感”とは明らかに違っていました。
そこは、興奮とワクワクのエネルギーで溢れていました。着いてすぐに、私の応援する選手、ハビエルの登場でした。
初めての格闘技の試合を前にして、私はどう応援したらいいかわからず、もう祈るように彼を見つめました。 
3分×3ラウンド。たったこの9分の中で、選手は命を懸けて戦うのです。


私の身体は震えていました。そして、みぞおちに強い圧迫感。それは私の生存本能が、
リングの上に立つ選手のアドレナリンに反応しているようでした。


4時間の間、いくつものファイトを観ました。その中で印象に残っているのは、戦いだけではありません。
リングに向かう選手や審判、サポーターの態度。上がる前に祈る。四方の観客に向かって礼をする。
勝ち負け関係なくお互いのチームとの挨拶。相手チームの選手にファイトの後で水を飲ませる習慣。
もうこれ以上やったら危ない!そう判断して選手を止める審判の愛。
そのすべてを目撃しました。
リングは“聖地”でした。
一人の人間が、もう一人の人間と向かい合い、すべてをさらけ出して命を燃焼させる。
ファイトは“セレモニー”でした。


応援するハビエルは残念ながら負けてしまいましたが、彼の人となりが、私にこの体験をさせてくれました。
ハビエル、そして戦う選手たち。
感動をありがとう!!



暑さの効用

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イギリスでのムーブメント・メディスンの卒業式が無事終わりました。
6年間通い続けたデボン州・トトネスでの卒業式は一生の宝物となりました。
両親や友人も日本から参加してくれて、新しく開かれた道に向かって大きな祝福をいただきました。

卒業式の前には自然の中でビジョンを乞う“ビジョンクエスト”も行いました。
それは今までの環境から完全に自分を切り離し、大自然に自分を委ねるプロセスでもあります。
真冬の支度を準備してくるように伝えられていたのに、6月だからそんなに寒くないだろう・・・と甘く見ていた私は寒さに震えることになりました! 寒い中、イギリスらしい雨が降り、服・靴はびしょ濡れ。
3日間私は完全に裸足で過ごしました。
裸足で歩くことは繊細な感覚を取り戻すことだとそのおかげで気付きました。小さな石や濡れた苔、とげのある植物、動物のフン。日本だと車でアスファルトを走ることが主な交通手段である私の生活から離れ、もう一度自分の生きている環境をミクロ・レベルで感じ、感謝するチャンスでもありました。

今はスペイン・マドリードに来ています。
ムーブメント・メディスンと同時に私の道であるフラメンコともう一度向き合うために来ました。
毎日5時間踊ります。最初の1週間、私の身体は疲れ果て、クラスが終わってお昼を食べると目が
開けていられなくなりシエスタ(お昼寝)を3時間。夜は8時間以上眠りました。
疲れは環境の極端な変化のせいもあったでしょう。真冬から真夏へ。
寒さに震え太陽を求める場所から、汗だくになって太陽からできるだけ離れようとする場所への移動。

でも2週目に入ると格段に身体の変化を感じました。
筋肉痛はないし、シエスタをしなくても夜まで目を開けていられる! スペインの暑さにも慣れて夏だと夜10時まで明るいスペイン人の普通の生活を楽しめるようにもなりました。
それはバル!スペイン人口の120人に一つはあるといわれるバルは夜遅くまでどこもいっぱい。そしてバルに行くと、とにかくうるさいのです。それは私が思うに一人一人の声が大きいというよりも、“外向け”の丁寧な声でなく、“地声”で話しているから。

スペインにも敬語はあります。2人称、つまり「あなた・きみ」に当たる言葉が“Tu”と“Usted”。
でもこれまで買い物に行っても、バーに行っても、初めて会った人にも敬語である“Usted”を使われたことはありません。最初から“Tu”。日本語で言ったら、「きみ・お前」でしょうか。私はそのあけっぴろげさ、というかシンプルさが大好き。何年も一緒に過ごした友達も、今出会ったばかりの目上の人にも、誰にでも”Tu”を使う文化。この熱い太陽の元、深刻になんて考えていられない。誰がどんな人であろうが、みんなを平等に扱い、扱われる。
フラメンコ誕生の大切なルーツであるジプシーたちがどうしてこの地にとどまったのか、私には分かる気がするのです。


2016年8月号

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