人類みな兄弟

☆この記事は、NPO法人アグレコが月一で発行しているフリーペーパー「agreco」に寄稿しているものです。
~みんなでくらしをつくる~というテーマの雑誌で、個性あふれる方たちの描く糸が紡ぎだす月刊誌。
群馬・東京・栃木で手に入れることができます☆



中国、広州市に行ってきました。
香港からも近い、緯度的には台湾と同じくらいの場所にある温暖な地域。
昔から貿易の主要都市として栄えてきた街。
そこにダンス・ワークのアシスタントしてお邪魔しました。


最初の2日間は広州の街を観よう!空港からは市内へタクシーで向かおうと決めていた。
そして空港に到着した途端、冒険は始まった。


現地に着いたら空港で現金を引き出すのが最近の私のやり方で
日本では一銭も両替してこなかった。
まずATMを探す。


ATMは見つかるが「お金の引き出しは現在できません」と書いてある・・・
いくつかのATMが全く同じ状態。


インフォメーションセンターに行き、ATMの場所を英語で聞く。
肩になんて書いてあるかわからないタスキをかけた男の人が、怒った顔と口調で「あっち!」と指をさす。
どのゲートかもう一度聞く。彼のアルファベットの発音が聞きづらく、また聞き直す。
最後には、彼の怒り(に見える)は私を無視するまでになった。
そこで彼との会話は諦め、なんとなく他の銀行らしき場所を探し、
最後には何とかこの空港で唯一お金を引き出せるATMを見つけた!
国際空港で英語は話さない、サービス精神はない、客に怒る。
う~ん中国おそるべし。


今回の仕事は、私の大先輩であるイギリス人ティーチャー、ジョー・ハーディーのワークショップ。
彼女は5~6年すでに中国で教えている。
インドにも暮らし、仏教のアシュラムにも住んでいた経験からイギリス人でありながらアジアをよく知り、
教えの中に西洋と東洋が統合され、鋭くもありながら慈悲に満ち溢れた教え方をする。
「ハート&エモーション」~心と感情を学び・踊る~これが今回のテーマだった。


5日間のコースの初日。
初めて通訳や他のアシスタントと一緒に手を繋ぎサークルになった。
ジョーと私以外の3人は中国人女性。
5人の心がつないだ手を通して溶け合うように一つになる。
その瞬間、私の目から涙がこぼれた。
言葉にできない、ただただ心が震えて涙としてあふれ出した。
そして気付いた。私の心は中国と中国人への偏見でいっぱいになっていた事に。


中国は汚い・仲間以外には冷たい・日本人を嫌っている・自己主張が強すぎる・・・・・
尖閣諸島の問題や、これまでの歴史、実際に中国に行った人たちの感想。
自分で経験したことではなく、すべて誰か、どこかからの情報で私の心は中国人はこうだ、と決めつけていた。
空港での経験もそれを証明するかのようだった。
でも、相手の存在そのものを言葉を超えて、繋いだ手で、心で感じてみる。
そこには同じ人間しかいなかった。
私たちと同じように血が通い、喜びも悲しみも感じ、笑顔もある人間しか感じられなかった。 


コースが始まって、その感覚はより一層強まった。
もちろん外見は違う。
でもヨーロッパでも、日本でも同じように踊る同じ“人間”が、ここにもいる。
その姿は、どの国の人だろうと関係がなかった。
ラベルは必要なかった。


全部で40人いる中で数人いる男性の参加者の一人に聞いた。
なぜこのコースに参加しようと思ったのか。
私と同じ年代の彼は言った。
「自分をもっと知るために。そして人を助けるために。」
私の心はまた震えた。
中国にもいる。
踊ることで自分を知り、誰かを助けたい、と思う人が。


もう一度当たり前のことを再確認できた。
「人類、やっぱりみな兄弟。」


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無駄な努力

☆この記事は、NPO法人アグレコが月一で発行しているフリーペーパー「agreco」に寄稿しているものです。
~みんなでくらしをつくる~というテーマの雑誌で、個性あふれる方たちの描く糸が紡ぎだす月刊誌。
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家には可愛い樹がある。
5年位前に友人からいただいたアボカドの樹。
実はこれまで何度も土をカラッカラに乾かしてしまったことがある。
譲り受けたばかりの時は50㎝の高さだったのが、今では1mを優に超える。
が、暑い6月に1ヵ月間家を離れて帰宅したその時、そこに生える葉っぱはすべて茶色に変色し乾いていた・・・・
とうとうやってしまった・・・
どこかで、いつかこの時が来るかもしれない、と思いながら何もしなかった自分に反省し、
無駄な努力とわかりつつ、鉢を少し大きめのものに代え、栄養のある土に植え替えた。
そして太陽の光が強い窓辺ではなく、部屋の中に鉢を置いた。


「無駄な努力」― そう思えることは人生で山ほどある。

~地球が確実に悲鳴を上げている現状に、自分ができることは何か~
*暖房や冷房、電機の使用をできるだけ控える。
*マイバック・マイ箸を持ち歩く。
*いろいろなものをゴミにするのではなくリサイクルにもっていく。

~紛争や戦争がまだ起こるこの世界で、自分ができることは何か~
*まず自分が平和であること。
*憎しみの言葉ではなく愛の言葉を発すること。

全て、そんなことで何か変わるのだろうか? 
と思えるちっぽけな行動だ。
でも、やらないよりマシ、だ。


私たちは知らない。
日々の想いや、行動が生み出す結果を私たちは知ることはできない。
小さな「自分ができる事」の積み重ねが、誰かほかの人の積み重ねと繋がり、
無限に繋がっていった先には思い描く世界が待っているかもしれない!


2ヶ月たったある日、私は発見した。
もう死んでしまったと思っていたアボカドの樹から新芽が出てきたことに!
無駄な努力を沢山やってみよう。小さな一歩でいい、踏み出してみよう。
その先に見えてくる世界が、このアボカドの新芽のように、いのちの再生まで産み出すかもしれないのだから。

どこでもダンサー

☆この記事は、NPO法人アグレコが月一で発行しているフリーペーパー「agreco」に寄稿しているものです。
~みんなでくらしをつくる~というテーマの雑誌で、個性あふれる方たちの描く糸が紡ぎだす月刊誌。
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エティハド航空。初めて乗ったアラブ首長国連邦の航空会社。
今、私はちょうど東シナ海上空を飛んで一路アブダビへと向かっています。


今回の目的もダンス。
最初にイタリア北部でムーブメント・メディスンと一緒に声を使うワークショップを受けた後
友人を訪ねてスエーデンヘ。そこからイギリスのトレーニングへ行き、再びイタリアへ戻ったら今度は
同期の仲間とローマで一緒にワークショップを行う旅。

私はいつも機内食でベジタリアンミールをオーダーしている。
最初に出た食事はカッテージチーズに野菜たっぷりのパスタ。そしてキヌアのサラダ。
目の前の画面で音楽はドイツ人バイオリニストが
ロック調にアレンジしたビバルディの「四季」。


ふと気づくと、もう私たちの生きている世界に国境はない。
中東の航空会社で古代アンデスのスーパーフード・キヌアが食事に出る時代。
1日で地球の端から端へ飛んでいける時代。

エコノミークラスの狭い座席に座り、私は世界を想う。
窓から、刻々と変化するあまりにも美しい空の色を見て
今という時代を生きられる幸運に感謝する。
そして私のこの身体にも。

私がやりたいことを、やりたいように実現させてくれるこの身体に。
行きたい場所へ連れて行ってくれるこの身体に。


私たちの内には、一人の例外もなく「ダンサー」が宿っている。
その「ダンサー」は、どんな状況でも私たちが繋がるのを待ってくれている。
ダンス・スタジオの中でも、新緑の森の中でも、車の運転中でも、エコノミークラスの座席の上でも。
その繋がりをつくるためのマジック・ワードは
「ねえ、身体よ。今、どんな風に動きたい?」
そして耳を澄ませる。心を開く。意識を集中し・広げる。
伸びをしてみる。YES!あくびが出る。YES!肩を回してみる。YES!!
私たちは皆、「どこでもダンサー」。
さあ、ご一緒に。自分の身体に、そこに宿るあなたの命に「YES!!!」




いのちを救う人となれ

☆この記事は、NPO法人アグレコが月一で発行しているフリーペーパー「agreco」に寄稿しているものです。
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みなさん、“AED”を知っていますか?
―自動体外式除細動器―心臓がけいれんを起こし血液を流すポンプ機能ができなくなった状態の心臓に対して、
必要ならば電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器です。
駅、コンビニやサービスエリア、公民館で見かける赤いハートに稲妻のような矢印が描かれたシンボルマーク。
先週講習会で改めて使い方を学んできました。


もともと、なぜその講習に行ったかというと、
ムーブメント・メディスンを教えるためにはファーストエイド(緊急・応急処置)の資格を持っていることが条件。
日本では、赤十字が行っている「赤十字救急法救急員」という資格があり、2~3日間の講習でその資格がもらえる。
初めて講習に行ったのは3年前、忘れもしない大雪が降った2月。
前橋の赤十字に通い三角巾の使い方、止血の仕方、骨折した場合の副子の当て方、
そして倒れている人を見かけた場合、どうしたらいいのかを何度も練習した。


倒れている人を見かけたら、皆さんならどうしますか?
道端で倒れている人を見かけることは、そう頻繁に起こる事ではない、そう思うかもしれません。
でも私は40年生きてきた中でこれまで覚えている限り3人の倒れている人と出会いました。
13年に1人の割合!そしてその内の1回は、まったくどうするすべもなく、ただ通り過ぎて、
その方が死んでいるのだと気づいたのがその3日後・・・ということもありました。
インドでの話です。


今回の講習会でも、2人組になり、実際倒れている人を目の前にした状況を創り何度も何度も練習。
不思議なことに練習だとわかっているのに、その状況を創るだけで私の心はギューッと締め付けられ、心臓がドキドキし始める。
まず行うことは、周囲の確認。そこは危険な状況ではないか。確認が取れたら、その方の意識・反応の確認。
「もしもし、大丈夫ですか?もしもし、大丈夫ですか?」
反応がない場合、すぐに助けを呼ぶ。119番し、AEDをもってきてもらう。呼吸の確認。
呼吸の確認が取れなかったら胸骨圧迫(心臓マッサージ)。
その一連の流れを練習し、人形に心臓マッサージと人工呼吸を繰り返す中で、思った。
握りこぶしよりも小さな心臓が一生止まらずに動き続ける奇跡。
長生きする人で100年間。平均20億回が一生の鼓動数。
時にはちょっと止まりたくなることだってあるだろうに、生きている限り心臓は“いのちの音”を奏で続ける。


お時間のある方、ぜひ講習を受けてみてください。
赤十字だけでなく、消防局でも講習会が開かれています。
ちなみに私はこの講習会を受けて、赤十字へのイメージが変わりました。
講師のみなさんはとても謙虚で一生懸命。赤十字に送られる寄付の使い道の一つとして、こういう講座も開設されています。


いのちを救う、そんな大それたことではなくても、万が一の状況と出会ったときに、自分が
“できること”をする練習のために。


困難が扉を開く

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先月、イギリス研修でのこと。

夕方18時に成田発➡香港経由➡翌朝5時ロンドン・ヒースロー空港到着。
時間がたっぷりあるので、いつもは使わない地下鉄でロンドン中心部にあるパディントン駅まで行くことにする。

ヒースローからパディントンまでは何度も通ったよく知った道。ヨーロッパではよくある予想していないストライキがあったり、
例え迷っても時間がたっぷりあるから大丈夫〜と思っていたら、本当に迷った!

それは地下鉄の改札で始まる。まず持っているイギリス版Suicaのオイスターカードが何故か使えない。
マシーンでチェックしたら残額はある。質問しようと思っても駅員が誰もいない。仕方なくチケットを買う。
地下鉄のスピードがノロい。というか駅でない場所であちこち止まる。そして遂には乗り換える駅を間違えたらしく、
途中まで行ったのに結局空港に戻る道をたどる。大きな荷物を階段で上り下り…久しぶりにイライラした(笑)

でも、それが色んな出会いと気づきをもたらしてくれた。学校のあるトトネス行きの電車に乗るまでに
4人もの人が助けてくれた。

●アルバニア人のおじさん➡駅が間違っていると教えてくれた
●インド人のお兄ちゃん➡電車まで荷物を運んでくれた
●ナイジェリア人の駅員のお兄ちゃん➡間違って払ったお金を返金してくるよう助けてくれた
●ジャマイカ人の駅員のお兄ちゃん➡荷物を持ってトトネス行きの電車に乗せてくれた

みんな仕事中、または仕事に行く途中。私に関わっていて時間大丈夫かなと心配になる位、親身になってくれた。
一つ皆に共通するのはオリジンがイギリスではないこと。イギリスという国の多様性がここにある。

そのあと、3時間くらい乗っているトトネスへの電車の中で思った。
間違えたり、迷ったり、今までやったことのないことへ飛び込むこと。
それは今までに知らなかった世界を見せてくれるゲートウェイとなる!

仕事や役割を超えて、今初めて出会う目の前の人に心を開き、助けを求める。
それは自分の弱さをさらけ出すことでもあり、人を謙虚にする。
そうすることで、いつもとは違う目で、物事を見ることもできる。

現代の生き方はプライベート(私)とパブリック(公)をきっちり分けようとしている気がする。
例えば(公)の役割を果たしている時に(私)があってはいけないような感じすらする。
〝公私混同〟って、やってはいけない事の代名詞で存在する。

でも(私)を活かさずして、(公)もあり得ないのではないかな?
(公)を重んじ過ぎて(私)がなくなってしまう時、過労死のような、あまりにも痛い現実が起こってしまうのではないか。
だとしたら(私)を大事にして、(公)を楽しみながら生きること。それこそが〝公私共生〟の道。


迷った事から、出会ったこの4人の男性の親切のお陰でこんな事を考えました。
みなさん、2017年も思いっきり間違えましょう、そして道に迷いましょう〜


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